抄録
海底資源としてマンガンクラストが注目されている。海水中でのPt/Pd濃度比は約1であるがマンガンクラスト中のPtはPdと比べて100倍以上濃縮していることが報告されている。この現象はPt/Pd異常と呼ばれこの原因は解明されていない。Pd(II)の吸着挙動は明らかになっていない。またPt(II)のδ-MnO2 (IV)への吸着挙動は報告されているが海水条件での結果は報告されていない。そこで本研究では海水条件(pH 8、Cl-濃度 0.56 mol/dm3)におけるPd(II)、Pt(II)のδ-MnO2 (IV)への吸着挙動をから、Pt/Pd異常を解明することを目的とした。その結果吸着率変化の初期の時間ではPdが多く吸着し、その後やや減少しつつ一定となった。一方、Ptは直線的に増加し、24時間後にはPdの吸着率を超えた。これがPt/Pd異常の原因だと考えられる。