抄録
マグマの酸化還元状態は,火山噴火による大気への影響を考える上で重要な情報である.メルトの化学組成の変化と酸化還元状態を関連付ける上で,高い時間分解能でメルト進化のステージを区分するとともに,各ステージの酸化還元状態を推定する必要がある.ジルコンは高精度な年代が得られ,Ce存在度を用いてメルトの酸化還元状態の推定が可能な鉱物である.本研究では西南日本外帯の石鎚コールドロンの火成岩類に着目し,高感度高分解能イオンマイクロプローブ(国立極地研究所設置)を用いて単一のジルコンからU-Pb年代および微量元素組成を測定することで,メルトの進化と酸化還元状態の変化のトレースを試みた.分析結果等からコールドロン形成史を約30万年間隔の3ステージに区分した.各ステージのジルコンのCe異常の変化からマグマの酸化還元状態の変化について考察する.