抄録
近年、人工的な電極や鉄鉱物などの導電性物質との電子授受によりエネルギーを得て生育可能な微生物が発見され、大きな注目を集めている。我々のグループでは、自然界にも存在する導電性の鉄鉱物をいわば “電線”として利用する、新たな微生物代謝機構を見出した。まずGeobacterやShewanellaといった、電極を呼吸の電子受容体として利用可能な微生物が、(半)導体性の鉄鉱物粒子との電子授受を介した導電性ネットワークを形成することで、遠く離れた電極への長距離電子伝達を可能にすることを明らかにした。さらに、導電性の鉱物粒子が2種類の微生物の異なる代謝を“電気的に”つなぐことで、個々の菌単独ではなしえない共生的な代謝反応が進行しうることを明らかにした。本講演では、このような導電性鉄鉱物との電子授受に基づく新たな微生物代謝について概説する。