主催: 日本地球化学会年会要旨集
微生物由来の水酸化鉄(BIOS)は吸着を通して様々な微量元素の挙動を支配する鉱物である。一方、BIOSは還元的な環境で鉄還元菌に容易に還元され、鉱物種が変化することも報告されている。よって、BIOSを介した微量元素の循環を理解するためには、BIOSの生成から還元までに生じる一連の鉱物種変化を把握することが重要である。本研究では、BIOSに富む堆積物中の鉄鉱物種変化およびその割合を把握することで、実際の天然で生じているBIOSの還元とその要因を明らかにすることを目的とした。XAFS分析の結果、堆積物に含まれるBIOSは還元的な環境で一部がGoethiteやSideriteに変化するが、大部分はFerrihydriteとして残ることが明らかになった。また、還元的環境下でFerrihydriteが完全に還元されない原因は、SideriteやGoethiteがFerrihydriteを覆うことによるBIOSの生物利用性の低下であることが示唆された。