抄録
MC-ICP-MSによる迅速Li同位体比分析法(谷水・永石, 2014本年会)を用いて地球化学標準試料を測定し、分析値の確度や繰り返し再現性精度について検証した。分析に必要なLi量は10 ng、分析時間は約20分である。必要試料量を減らし、試料の前処理におけるLi単離時の陽イオン交換樹脂容量を2.5 mLに抑えたため、迅速な化学分離・同位体比測定(分離日数が最短1日、翌日に15試料程度の自動測定)が可能である。標準岩石試料(JB-2、JR-2)、海水標準試料(BCR-403)の繰り返し再現性精度は±0.3‰程度であり、分析値の結果はこれまでの報告値とよく一致した。サンゴ標準試料(JCp-1)については、繰り返し再現性精度は±0.3‰程度であるものの、唯一報告されている文献値(Huang et al., 2010)とは数‰異なる分析結果が得られた。分析値の確度に対する検証実験を進めているところであり、本発表では、その検証実験の結果を交えて報告する。