抄録
高感度イオン検出器(二次電子増倍管、固体増幅器等)を用いた多重検出器が実用化され、分析試料のダウンサイジング化や分析点でのクレーター深さの低減が図られ、今後は高精度・大量年代情報に基づく地質現象の包括的理解(全体像の評価、例外的事象の定量的取り扱い等)に広く活用されるものと期待できる。その一方で、高感度イオン検出器は、増幅率やバックグラウンドの時間変化が大きく、正確な年代情報を得るには検出器ごとの精密な信号校正が必要であり、多重検出方式の優位性を最大限に活用しているとは言えない。そこで我々の研究グループでは多重検出方式を目指したデイリー(Daly)イオン検出器の開発を行ったので報告する。