抄録
2011年3月11日に発生した地震、津波、東京電力福島第一原子力発電所(以下FDNPP)事故から約4ヶ月が経過した2011年7月から2014年6月までの約3年間、FDNPPの南東沖約100kmの地点(F1:36-28N/141-28E)の2層に時系列式セジメントトラップを設置して、時系列で粒子を捕集し、捕集粒子中の放射性セシウム(134Csおよび137Cs)を測定した。その結果、全ての試料から134Csが検出され、FDNPP事故由来の粒状態放射性セシウムが3年経過した時点でも、同地点に輸送されている様子が窺えた。観測された134Csフラックスの季節変動が、海洋表層の生物活動の季節変動とは異なること、捕集粒子の主要成分は鉱物起源物質であること等から、セジメントトラップに捕集された134Csは、海洋表雄から鉛直的に沈降してきたものに加え、底層を水平的に移動したものを多く含むと推測された。