抄録
海面に生じた泡の破裂(飛沫)から生成するエアロゾル(PMA)の化学組成は元の海水とは異なり、特にサブミクロン粒径範囲で有機物に富むことが報告されている。有機物はPMAの雲凝結核能を変化させるため、その化学的特徴を明らかにすることはエアロゾルの気候影響を理解するうえで重要である。本研究では、植物プランクトンを培養した海水を用いたエアロゾル生成実験を行い、質量分析計を用いて有機エアロゾルの質量スペクトルを取得した。エアロゾルに含まれる有機物の質量割合は海水に含まれるプランクトン量と共に増加し、生物起源有機物がPMAの組成に寄与していることを確認できた。また、生成されたエアロゾルに含まれる有機物へは炭化水素系の有機物の寄与が実大気エアロゾルと比較して大きいことがわかった。