主催: 日本地球化学会年会要旨集
大気中の過酸化物(過酸化水素、有機過酸化物)は、主にオゾンを介した光化学反応によって生成され、二酸化硫黄の液相酸化を促進させることや大気中へのPM2.5の主成分でもある硫酸エアロゾルの供給に大きく寄与していることから、大気中で極めて重要な働きを果たしている。特に、上空大気中の測定は、山岳域など高所における生態系影響評価や雲粒内での硫酸生成過程などを考察するために重要であるが、国内での上空大気中の過酸化物の測定例は非常に少ない。本研究では、ヘリコプターを利用して、富山県上空大気中の過酸化水素、オゾン、二酸化硫黄などの測定を行った。過酸化水素濃度は、地表付近で低く、大気境界層上部で極大であった。また、太平洋高気圧圏内となる通常の夏期よりも、2013年8月のように大陸からの越境汚染の影響を受けていた夏期に過酸化物が非常に高濃度であった。また、夏期は二酸化硫黄濃度よりも過酸化水素が高い状態であったが、寒候期では二酸化硫黄に対して過酸化水素が不足する状態であった。