抄録
本発表は、天然水中の過酸化脂質の測定法に関する報告である。過酸化脂質の新しい蛍光プローブに、2-(4-ジフェニルフォスファニル-フェニル)-9-(3,6,9,12-テトラオクサトリデシル)-アントラ[2,1,9-def:6,5,10-d’e’f’]ジイソキノリン-1,3,8,10-テトラオンを用いた。これはLiperfluoと呼ばれ、生体内の過酸化脂質を選択的に定量するのに用いられてきたものである。分析は、蛍光検出器が取り付けられたフローインジェクション分析(FIA)によって行われた。天然水中の過酸化脂質とプローブとの蛍光強度は、過酸化水素、メチルヒドロペルオキシド、エチルヒドロペルオキシドといった他の低分子量過酸化物のおよそ28倍高い数値が出た。この方法を用いて、瀬戸内海海水中過酸化脂質濃度を測定したところ、96.2-382 nMの濃度範囲となった。