抄録
今後の国際的地球環境研究はフューチャーアース(FE)という研究枠組みで進むが、そこでは、(1)地球環境を構成する各圏の相互作用環の実態解明に加えて、(2)それらと食や健康など人間生活との連環、(3)さらに社会との協働や能力開発を図る試みが重視されている。申請者らは、大学共同利用機関法人である地球研におい水や生物を構成する多くの元素と安定同位体比を効率的に獲得できる実験環境を整備すると共に、大学や地域の卒業研究の課題として各地域の陸水に適用し、環境の基盤情報の獲得を試みてきた。これらの多項目水質情報を介したボトムアップ的アップローチは、FE研究でも重要な食のトレーサビリティーや環境モニタリングなどの研究ネットワーク化に貢献できると考えており、その事例を紹介する。