抄録
本研究では、非集積岩型ユークライトに一般に見られる比較的平坦なREEパターンが単純に主要構成鉱物中におけるREEの組み合わせだけで説明可能かどうかを明確にすることを目的とし、ユークライト中の輝石および斜長石に着目し、個々の鉱物ごとにREE定量分析を行った。輝石のREE測定では、LaとPrのマススペクトル上に主成分由来と考えられる未知の複合化合物イオン種の顕著な干渉により、正確な定量値が得られなかった。Nd~LuまでのMREE~HREEのパターンからLREEはC1コンドライトに対し0.01~0.5倍程度枯渇していると推測される。また、Euの負の異常が認められる。一方、斜長石はREE全質量領域にわたってマススペクトル上の干渉は見られず、LREEに富み、HREEに乏しい右肩下がりのパターンが得られ、Euに正の異常が認められた。コンドライト物質からユークライトとダイオジェナイトの二成分のみが形成されるとすれば、未だ報告例はないが、斜長石に富んだ非集積型ユークライトの存在の可能性も考えられる。