抄録
地下水のヒ素汚染は,東南アジアやバングラディッシュ,ネパール,インドなどの国々で深刻な問題となっている.こうしたヒ素汚染の対策として,溶存ヒ素を沈殿させたり,担体に吸着させたりするなど,様々な水中ヒ素の除去方法が開発されてきた.しかし,自然素材を用いた除去方法についての研究例は少ない.そこで本研究では,リンとヒ素の化学的性質が類似している事に着目し,リン吸着容量の大きい鹿沼土がヒ素の吸着材としても適応し得るのではないかと考え,鹿沼土を用いた水中ヒ素の除去法を検討した.鹿沼土は約5万年前の群馬県赤城山における噴火によって,群馬,茨城,栃木の3県に広く堆積した火山灰土壌で,園芸用土として栃木県鹿沼市において採掘されており,土壌中のリンの固定力が強いことから,リンの吸着材としての研究にも使用されている.しかし,採掘過程で大量の商品価値のない粒径の小さな鹿沼土粉末が生じ廃棄されているため,ヒ素吸着材としての検討は価値があると考えられる.