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本研究では、北極海を対象に、従来溶存硫化ジメチル(DMS)分析で用いられている複数のろ過手法を用いて、測定されるDMS濃度の違いの有無を検証し、各手法の利用可能条件や各手法で得られたデータの意味合いについて再検討した。MR15-03航海における沿岸域と外洋の海域で分取後すぐに測定した結果の比較から、同海域内で最大3.6倍ものDMS濃度の差を示し、ろ過手法による違いが確認された。また、海域毎の異なるろ過手法で得られた濃度の比は一様でなかったことから、生物生産の高い沿岸域ではろ過方法による見積もりの違いが大きいことが予想された。時間経過によるDMSの保存性は、ろ過手法によって濃度比が大きく変動した沿岸域と、ほとんど変化しない外洋域とで保存性の違いがあることがわかった。今後、本航海で得られた生物および環境パラメータも考慮して各海域のDMS濃度の特徴とサンプリング手法との関係性を明らかにする。