塩素同位体比測定法について測定実験と量子化学的方法で検証した。その結果、次のことが分かった。(1)Cs2Cl+イオンは塩素同位体比の精密測定値を与える。(2)CsCl分子が黒鉛結晶の層間を通りCs2Cl+になる。(3)CsCl試料の共存物質は, 黒鉛結晶の層間を閉塞する。ニュージーランド南島の東側大陸棚の堆積物試料(IODP, Expedition317)の塩素同位体比を測定したところ, 浅い海の掘削試料に関する塩素同位体比の年代変化はユースタシー曲線の海進・海退周期に対応した。一方, 深い海の掘削試料では掘削深度が進むと徐々に35Clの割合が増加し, 深いところでは海水よりも35Clの割合が高くなった。御嶽山周辺にある温泉の塩素同位体比も測定した。測定した温泉の塩素同位体比は海水より37Clの割合が高かった。温泉水中のCl?イオンのほとんどは, 地下のマグマに由来し, 最終的に地下水に移行したものと解釈している。