日本地球化学会年会要旨集
2016年度日本地球化学会第63回年会講演要旨集
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G04 鉱物境界面の地球化学、水-岩石相互作用
鉄マンガン団塊への微量元素の濃集機構: ヒ素およびアンチモン
*上杉 宗一郎田中 雅人柏原 輝彦高橋 嘉夫
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p. 4-

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抄録

本研究では、鉄マンガン団塊へのヒ素(As)とアンチモン(Sb)の濃集機構の違いを明らかにすることを目的に、As、Sbの溶存時の化学構造の違い(Asは4配位4面体、Sbは6配位8面体)に注目し、As、Sbがマンガン酸化物および水酸化鉄へ吸着する際の吸着種についてX線吸収微細構造(XAFS)法と量子化学計算を用いて分子レベルで評価した。量子化学計算の結果より、水酸化鉄およびマンガン酸化物に対して、単核二座結合の相互作用エネルギーは、AsよりSbの方が大きいことが示された。これには構造の類似性が影響していると考えられる。XAFSおよび量子化学計算による吸着種の解析結果より、As、Sbのいずれも水酸化鉄には二核二座結合で吸着していた。また、マンガン酸化物に対するAsの吸着種は二座結合に比べて不安定な単核単座結合であり、Sbは単核二座結合であることが示唆された。これはSb(VI)の対称性やイオン半径がFe(Ⅲ)やMn(Ⅳ)のそれに類似しているためだと考えられる。

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