砥粒加工学会誌
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論文
SCM435H鋼の疲労特性に及ぼす微粒子ピーニング/窒化複合表面処理の影響
菊池 将一亀山 雄高深沢 剣吾小茂鳥 潤
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2006 年 50 巻 3 号 p. 134-137

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抄録
既存の単一表面改質法による構造部材の疲労強度向上はほぼ限界に近い水準にまで達しており,大幅な疲労強度向上のために複合表面改質法の必要性が認められている.そこで本研究では,耐摩耗性を向上させ,かつ表面硬化層を形成させる窒化処理と微粒子ピーニング処理(FPB処理)との複合表面処理に着目した.SCM435H鋼に,FPB処理と窒化処理の処理順序を変化させた二種類の複合表面処理を施し,その各々について室温・大気中で回転曲げ疲労試験を行った.また,これらと単一表面処理材との比較も行い,複合表面処理材の疲労特性を実験的に検証した.その結果,処理順序を変化させた二種類の複合表面処理材の疲労強度に差異が生じ,窒化処理後にFPB処理を施した鋼の疲労強度が最も高い結果が得られた.この理由は,窒化処理工程で形成された化合物層をFPB処理により除去したことによるものだけではなく,表面硬化層にFPB処理を施すことにより高い圧縮残留応力が付与されたことによるものと考えられる.
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© 2006 社団法人 砥粒加工学会
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