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深部地下環境の調査の一環である地下水中に溶存している炭化水素ガスの調査手法の一つとして,ボーリング調査で得られた岩石片の吸着ガスを,IsoJarTMなどのプラスチック容器を用いたヘッドスペースガス法により評価する手法がしばしば用いられる。しかしながら,この方法により得られた結果は,しばしば大きなばらつきを示す。本研究では,上述の手法により得られた結果を,幌延深地層研究センターの地下施設を利用して,真空バイアル法により得られた結果と比較した。その結果,ばらつきの原因が微生物活動によるメタン酸化反応によるものであることが明らかになり,これが試料の採取・保管方法に起因することを明らかにした。以上のことから,微生物活動を抑制する添加剤の使用法と合わせて,正しい値を得るための要点を整理した。