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海水の酸素・水素安定同位体比は、水塊のトレーサーとして有用であり、これまでに多くの研究が行われてきている。従来、水試料の安定同位体分析には質量分析法が用いられてきたが、近年はレーザー吸収法を用いた酸素・水素同位体比の同時分析が主流となってきている。しかし、レーザー吸収法を用いた海水の同位体分析例は少ない。我々は、水試料の同位体分析のために、レーザー吸収法の一つであるOff-Axisキャビティ集積分光法を用いたLGR社製の同位体分光装置を使用している。しかし、海水など塩分の高い試料を測定する際には、試料を注入するシリンジ内に塩が析出したり、注入口やキャビティ内を汚染したりするために、深刻なメモリー効果 (試料水が装置内に残留) をひきおこし、最悪の場合はシリンジが焼き付いてしまうことがわかった。そこで海水試料の高精度同位体分析を行うための分析条件を検討し、分析手順を確立した。