地質時代の古冷湧水に含まれていたメタンの起源を推定するため,上越市の中新統より採取した冷湧水炭酸塩から残留ガスを抽出し,分析することを試みた.粉末化した試料をリン酸で溶解させるとメタンが抽出され,微生物起源と熱分解起源の両方の炭素同位体比を示した.抽出したメタンと炭酸塩の炭素同位体比は弱い正の相関を示し,中新世当時の湧水中のメタンが炭酸塩に何らかの形で残留していることが示唆された.小片化した試料の加熱・粉砕によっても,メタンが少量ながら抽出でき,酸で溶解させた場合と同様の炭素同位体比を示した.メタンは炭酸塩中の結晶表面に吸着しているか,結晶間隙や結晶内部にトラップされている可能性があるが,炭酸塩の埋没後に地層中の熱分解ガスが2次的に混入している可能性は否定できない.