H. Ureyは1957年、“唯同然の隕石の研究で惑星の起源進化につき深い理解が得られる”と講演した。Ureyらは、同位体比組成を基本的パラメターとして種々の物質が置かれてきた外的環境(温度、圧力等)を解明する統計力学理論を発展させた。この手法は今日の同位体比地球惑星科学の基礎となっている。ただし、この統計力学理論は熱的平衡状態にあるマクロな系を対象としいる。昨今隕石のサブミクロン極微小領域の同位体比測定が研究の主流となっている。このような極微小領域で果たして古典的統計力学理論が立脚している“熱的平衡状態”が成り立つのかどうか、考えることが必要である。また同位体比組成の室内実験結果をそのまま直裁的に原始太陽系星雲の解釈に適用する場合はさらなる注意が必要となる。両者間には空間と時間に数十桁以上のスケールの違いが有る事に留意することが重要である。