2019 年 68 巻 10 号 p. 270-273
モルタルの電気化学インピーダンスの測定をおこない,インピーダンススペクトルとモルタルの細孔構造の関係を検討した.測定には細孔構造の異なるモルタル試験体を用いた.モルタルのインピーダンススペクトルの測定から,高周波数領域にモルタルの物性に起因する容量性半円あるいは半円の一部が観察された.このインピーダンススペクトルに対して等価回路によるカーブフィッティングにより,モルタル内の細孔により形成されるモルタル抵抗RMporeと,細孔溶液間のキャパシタンスCMporeの値を求めた.細孔構造が小さくなるとRMporeの値が増加するとともにCMporeの値も小さくなることが確認できた.これは,モルタル内の微細な細孔の増加による,細孔内の水分経路の減少よるものと考えられる.