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信頼性の高い元素形態分析法の確立と元素形態別地球化学図への応用を目指し、これまで堆積物中のクロム、銅、亜鉛の存在形態解析について、逐次溶解法とXANESを併用した結果について報告を行ってきた。ランタノイドのLIII吸収端XANESは、どの物質においてもシャープなピークをもつ類似したスペクトルを示し、第一遷移金属元素のK吸収端XANESのような存在形態解析には不向きであった。最近、朝倉らの研究より、LIII吸収端XANESスペクトルの半値全幅(FWHM)とランタノイド化合物の局所的な対称性の間には有意な相関関係が見いだされた。そこで、ランタノイド水溶液(水和イオン)、鉄水酸化物・マンガン酸化物・炭酸カルシウム中のランタノイドのXANESスペクトルのピーク強度やFWHMとランタノイド化合物の構造情報との関係を調べ、存在形態分析への応用について検討を行った。