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年間に世界で3億トンのプラスチックが生産されている。その約半分は使い捨てのプラスチックである。廃プラスチックのうち陸上の廃棄物管理からもれた部分が、降雨時の表面流出等により河川、そして海洋へ流入する。ポリエチレンやポリプロピレンは水より密度が小さく、浮いて遠距離輸送される。それらは海洋表層や海岸で紫外線に曝され、劣化し、破片となっていく。劣化、破片化が進み5mm以下になったプラスチックがマイクロプラスチックと呼ばれている1)。これらのプラスチック製品の破片の他に、洗顔料や化粧品の中のスクラブ等のマイクロビーズ2)、化学繊維の衣類の洗濯屑3)、スポンジの削れかすなどの寄与も指摘されている。世界の海洋に5兆個、27万トンのプラスチックが浮遊していると推定されている4)。これらのマイクロプラスチックの地球化学的な意味について本稿では考えてみたい。