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南極大気中の硫酸は、周辺の海洋において植物プランクトンが放出する硫化ジメチル(DMS)を起源とするものが支配的であると考えられている。しかし、これまで南極のアイスコアや雪中の硫酸の硫黄安定同位体組成(δ34S)の分析結果からは、東南極においてはDMS由来の硫酸が卓越しているのに対し、西南極の一部では火山または成層圏由来の硫酸が約60-90%寄与していると推定されている。また、東南極のアイスコアの分析から、大気輸送中のSO2酸化プロセスにおける同位体分別がδ34S値を変化させている可能性が提案されている。このように、δ34S値は単純な解釈が難しい。そこで本研究ではアイスコアではなく大気中の硫酸を対象とし、南極沿岸デュモンデュルビル基地(DDU)におけるδ34S値の季節変動を分析し、δ34S値の変動要因を検討するとともに硫黄起源の推定を試みた。