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海表面マイクロ層(sea surface microlayer: SML)は,大気と海洋の境界面にあたる領域であり,海洋−大気相互作用を理解する上で鍵となる領域である.SMLは水中環境に比べて,様々な化学物質が濃縮され,高いクロロフィル量やバクテリア現存量が観察される.一方,海水飛沫から生成されるエアロゾルには,海塩粒子だけでなく有機物や微生物粒子いわゆるバイオエアロゾルが時として大きな割合で含まれ,太陽光吸収や雲の生成過程を変化させるため,その動態に強い関心が寄せられている.私たちは,SMLに生息するバクテリア・アーキアの多様性の全体像を把握すると共に,15000種類もの機能遺伝子について網羅的な解析を行った.さらに,実際の海水面から生成するエアロゾルを捕集し,雲凝結活性とSMLやエアロゾル中に生息する微生物との関係を調べる研究について紹介する.