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海洋島玄武岩や中央海嶺玄武岩の希ガス同位体組成から、地球深部には始源的な希ガス成分が相対的に多く存在していることが示されており、その始源的成分のリザーバーの候補のひとつとして核が提唱されている。しかし高温高圧環境下における金属鉄-ケイ酸塩間の希ガスの分配挙動に関する実験的研究は、温度・圧力条件が不十分か、特定の希ガスについてのみで、十分な検証が行われていないのが現状である。そこで本研究では、先行研究より高温高圧下における金属鉄-ケイ酸塩間の全希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xe)の分配挙動について調べ、核が始源的希ガスのリザーバーとなり得るか検証することを目的とした。そのために金属鉄と希ガスを高濃度で導入したケイ酸塩ガラスをダイアモンドアンビルセル中に導入し、高温高圧下で金属相およびケイ酸塩相を熔融させて希ガスを系内で両相に分配させた。その後、両相の希ガス濃度を求めた。