日本地球化学会年会要旨集
2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
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G09 水圏や土壌圏の環境地球化学
リグニン組成からみた風連湖堆積物へのアマモ由来有機物の寄与
*上中 剛生
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p. 270-

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抄録

本研究では、風蓮湖堆積物中のアマモ由来有機物の寄与を、リグニンフェノールを用いて検討した。風蓮湖の河口、湾奥、および湾口の表層堆積物(-2 cm)リグニンフェノールの組成は、湾口でよりアマモに近い組成を示し、湾口でアマモ由来の有機物が比較的多く寄与していることが示唆された。この結果は、Watanabe and Kuwae (2015)のバルクの炭素・窒素安定同位体比から求められた有機物の起源の推定結果、すなわちアマモなどの自生性光合成生物が生産した炭素は、湾口側の堆積物中に高い割合で固定されていることと一致しており、リグニンフェノールの組成は、バルク同様に独立した指標としてアマモの寄与を示した。さらに、湖の植生変遷史を見るために分析を行った風連湖ロングコア(>200 cm)のリグニンフェノール濃度は、深度に応じて変動する傾向を見せ、これは、現代の風連湖とは異なった周辺植生およびアマモの繁茂を反映していると予測している。

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© 2017 日本地球化学会
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