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河川によって輸送される有機物は、輸送される過程で組成に変化が生じることが報告されているが、その組成変化が何に起因しているのかは、未だ不明確な部分も多い。本研究では、陸域からの有機物輸送や環境水中での分解過程を明らかにできる可能性をもつDOM画分における“リグニンフェノール”に着目し、水中有機物の組成変化とその特徴の解明およびそれらの要因について考察することを目的とした。河川水中のリグニンの微生物による酸化的分解度をみるため、リグニンフェノールのアルデヒド化合物/酸化合物(Ad/Al)比と環境条件(水温, pH, バクテリア数)の関わりをみたところ、上流から下流にかけて特にバクテリア数とAd/Al比は明らかな相関関係を示した (r2Pa/Ph = 0.79 and r2Va/Vh = 0.72, respectively)。これらの結果は、リグニンの微生物分解が河川水中で起きていることを示唆している。