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パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)は生物蓄積性が高いことから残留性有機汚染物質(POPs)に指定されたが、PFOSを含む有機フッ素化合物(PFAAs)の食物連鎖蓄積に関する研究は限られているのが現状である。食物連鎖蓄積の評価にはTrophic magnification factor(TMF)が使用され、TMFには生物の栄養段階(TL)の算出が必要である。TLの算出には全窒素安定同位体比(δ15N全窒素)による手法が一般的だが、より精度の高いTLの算出方法としてアミノ酸窒素安定同位体比(δ15Nアミノ酸)を用いた手法が開発された。本研究では東京湾において採取した生物試料を用いてPFAAs 17種についてδ15N全窒素とδ15Nアミノ酸によるTLを比較し、TMFの信頼性について検討した。TLはδ15N全窒素とδ15Nアミノ酸で違いが見られ、TMFではカルボン酸類のC4、C6、C8でTMFが高い傾向にあり、偶数鎖化合物の蓄積性が高いことが示唆された。