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近年、琵琶湖の南湖では水草の繁茂が見られ、湖底に堆積した水草から有機物や栄養塩類が溶出し水質へ影響を及ぼす可能性も懸念される。本研究では、琵琶湖南湖唐崎沖において水草を採取し、水草から浸出する溶存有機物(DOM)の分子量分布と蛍光特性を測定した。水草由来のDOMは、分子量約9万Daの高分子(ピークA)と、分子量1800Da(ピークB)と分子量800Da(ピークC)の低分子にそれぞれ分かれた。ピークB、Cを分取し、その三次元励起蛍光スペクトルを測定したところ、ピークBは励起(Ex)/蛍光(Em)=305/488と365/490nm、ピークCはEx/Em = 320/396nmに蛍光の極大が見られた。培養液の溶存有機炭素(DOC)濃度は、培養14日目に最大となった。これら増加したDOCは、培養終了時に9割以上が減少していたことから、生物易分解性でバクテリアの炭素源となる可能性が示唆された。