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アルカリ金属・アルカリ土類金属元素や遷移元素の安定同位体比は、物質の起源や地質学・生物学的プロセスを解析する新しいツールとして近年注目されている。多重検出器型ICP質量分析計の発展により、これらの元素の同位体比測定は比較的簡便になってきたことから、様々な地球化学的ツールとして応用範囲が広がっている。一方、同位体測定時におきる同重体干渉やマトリックス効果を防ぐために、試料からの目的元素の単離が不可欠でああるが、目的元素の単離や岩石の分解にかかる手間や危険性も、同位体分析手法のハードルを上げる要因となっている。そこで本研究では、ホウ酸塩溶融法を用いた岩石試料の分解と、オフラインでのイオンクロマトグラフィーおよびフラクションコレクタを用いた目的元素の同時分離による、同位体比分析のための岩石試料からの簡便な元素分離手法を検討した。