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強親鉄性元素の一つであるOsは放射性起源の同位体を持つため、同位体分析を行うことで年代学的情報が得られるという特徴を持つ。近年では、コンドライト隕石グループのメタル相の成因解明のために、局所Os同位体分析が行われており、より微小なサンプル量からより高精度・高確度のOs同位体分析を行うことの必要性が高まっている。本研究では、Os分析の化学処理工程におけるOs回収率を測定し、試薬量や加熱温度などの条件を変えることで、Os回収率の向上を試みた。その結果、マイクロ蒸留の工程では、酸化剤であるクロム酸硫酸の液量を減らすことで、Osの回収率は向上した。さらに、TIMSでのOs分析で用いるPtフィラメントを事前に硝酸で1週間洗浄することで、約4倍の強度を得られることが明らかになった。