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鉛は,島弧/背弧に位置する海底熱水鉱床の主要な金属元素の1つで,主に方鉛鉱 (PbS) に含まれる.鉛同位体比を用いて金属元素の起源を推定する試みは,沖縄トラフ熱水域ではHalbach et al. (1997) による研究が知られている.この研究では鉱石を溶液化した後,熱イオン質量分析 (TIMS) による測定が行われており,鉱物組織の鉛同位体比の違いは検討されなかった. レーザーアブレーションマルチコレクター誘導結合プラズマ質量分析 (LA-MC-ICP-MS) を用いた鉛同位体比測定は,固体試料の局所領域の同位体比が測定できる.微細組織を持つ鉱石に対して,鉱化ステージの違いなどによる同位体比の差異を読み取ることが期待される.すなわち,分析前に鏡下観察を行った研磨片試料を用いて測定を行うので,鉱物組織・鉱物組み合わせと関連付けた議論が可能であり,さらに化学的前処理が不要な迅速分析という利点もある.