p. 295-
TIMSを用いたジルコンの高精度Pb同位体分析は、その年代学的重要性から多くの研究が行われてきた。TIMSを用いた高精度同位体分析では、分析中に生じる質量依存同位体分別の補正が欠かせない。本研究では、分析中の同位体分別の影響が比較的小さいトータルエバポレーションTIMS(TE-TIMS)に着目し、ジルコンの高精度Pb同位体分析手法を開発した。TE-TIMSによる208Pb/206Pb比の同位体分析を行ったところ、その値は真値からわずかに変動することが分かった。変動の程度は測定試料の種類及びPb量によらず一定であり、この同位体分別係数を用いることでTE-TIMSによるジルコンのPb同位体分析が可能になる。本研究で開発した分析法を用いて測定したNIST 983の繰り返し再現性は、先行研究よりも約10倍程度良かった。