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40億年前の原始地球における化学進化過程において、有機分子が非生物的に生成された反応場のひとつとして雷が提唱されている。過去にプラズマ放電によってNH3、アミノ酸の合成はなされているが、使用したプラズマのパラメータや反応中間体に関しての情報は明らかにされていない。本研究では、酸化型大気を模したガスを水溶液中に導入しつつ放電プラズマを発生させ、溶液―プラズマ界面反応場を原始地球における海水面への落雷の際に形成される反応場のモデルとして応用することを着想した。放電プラズマの発光分光スペクトルからN2と反応中間体であるNHラジカルの発光波長を検出することに成功した。また、この放電後の溶液から呈色反応によりNH3の存在が確認できた。さらに、鉄棒電極に切り替えて放電を行ったところ、NH3の生成量が放電時間とともに増大していく様子が確認された。本結果は鉄が触媒としてNH3生成反応を活性化していることを示唆するものである。