HCNは生物の遺伝情報を担う核酸塩基の前駆体であると考えられており、近年有力とされている酸化型大気中の放電実験において生成が確認されている。しかし、放電条件や反応中間体に関しての詳細は明らかにされていない。本研究では自然界の雷と類似した電子温度と電子密度をもつ液中放電プラズマを応用することで、原始地球における落雷を模した反応場でのHCNの合成と、発光分光計測による反応中間体の検出の二つを目的とした。 N2-CO2混合ガスを導入して放電を行った結果、呈色反応によりHCNの存在を表わす吸収ピーク(638 nm)が確認された。また、発光分光計測ではCNラジカルの発光ピーク(359, 385, 415 nm)が確認された。以上から、自然界の雷に類似した放電によって、N2とCO2からCNラジカルを経由してHCNが生成することを明らかにした。