我々は加熱処理による除染、減容プロセスのさらなる改良を目指して、風化黒雲母や実汚染土壌からの放射性Csの脱離メカニズムを明らかにし、条件の最適化を進めている。まずはCsを吸着させた風化黒雲母や実汚染土壌にNaCl、KCl、CaCl2などの塩を加えて加熱することでどのような化学反応が起こり、どの程度吸着させたCsや放射能が取り除かれることを調べている。特にCaCl2を添加し、低圧(14Pa)雰囲気下のもと700℃で加熱することで、風化黒雲母に吸着させたCsをほぼ100%脱離することができた。このとき風化黒雲母は普通輝石(augite)やwadaliteという塩素を含むざくろ石構造の珪酸塩鉱物に相転移し、黒雲母の層間に固定されていたCsがこれら新しい結晶の構造中に入れずに放出されることが明らかになった。またこの手法を実汚染土壌に適用しても、99%に近い放射能を取り除くことができた。