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ハロカーボンに含まれるブロモホルム(CHBr3)は、温帯域や熱帯域の大気海洋中で濃度が高く、大気中に放出されたCHBr3は成層圏に運ばれた後オゾンの分解に関与している。成層圏に運ばれる臭素源として、CHBr3等の短寿命ガスの寄与は1996年の15%から2012年の28%に上方修正され、短寿命ガスの動態が注目されている。本研究では温帯域で採取された海洋植物プランクトンの珪藻Ditylum brightwelliiを対象に、CHBr3を含むVOCの生成について調べた。本実験の結果から、D. brightwelliiはCHBr3を含む数種類のハロカーボン(モノハロメタン・ジハロメタン・トリハロメタンを含む)の生成能をもつことが明らかになった。また本研究の結果から、珪藻が温帯・熱帯域の外洋におけるCHBr3等の臭素を含む短寿命ガスの生成に関与していることが示唆された。