日本地球化学会年会要旨集
2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
会議情報

G02 古気候・古環境解析の地球化学
ストロンチウム安定同位体比から探る第四紀の化学風化と海洋の炭酸塩収支の変化
*吉村 寿紘若木 重行黒田 潤一郎石川 剛志大河内 直彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 7-

詳細
抄録

第四紀は寒冷-温暖な時期を繰り返したことが知られている。Sr安定同位体比(δ88Sr、88Sr/86Srの標準物質に対する千分率偏差)は新指標で、海水のδ88Srは主に陸域のケイ酸塩岩/炭酸塩岩風化による供給と、海洋の炭酸塩沈殿による除去を反映する。本研究では浮遊性有孔虫から約300万年間のδ88Srの記録を得た。第四紀のδ88Srは60万年以後に0.011‰の低下が認められた。これは海洋における正味の炭酸塩流入が最大1.6–2.1 × 1015 mol/105 yrまで増加したことを示し、氷床量の拡大に伴う大陸棚域の露出増加とその風化量の増大などが原因と考えられる。

著者関連情報
© 2017 日本地球化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top