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本研究では、貧栄養海域の表層海水中に低濃度で溶存する硝酸の三酸素同位体組成を定量することに挑戦した。2種類の異なるD17O値をもつ内標準物質を用意し、添加後の海水試料中の硝酸濃度が500-800 nmol/Lおよび1000-2500 nmol/Lの範囲に入るようにし、それぞれのD17O値を測定した。硝酸のD17O値と濃度の逆数との関係式を使って海水試料中の硝酸濃度とそのD17O値を算出した。本手法で、溶存硝酸濃度が0.05-0.5 µmol/Lの海水試料については、D17O値を定量することができることを検証した。本研究で用いた日本海及び西部北太平洋おける表層海水中の硝酸のD17O値はそれぞれ+7‰程度、+5‰程度であった。これは、それぞれ19-33%、15-20%が大気由来の硝酸であることを意味する。