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小惑星リュウグウの表層作用を解明するために、母天体熱変成を受けた炭素質CMコンドライト隕石の物質組成を理解することは重要である。本研究では、加熱脱水作用が記録されるJbilet Winselwan 隕石中の脂肪族炭化水素と多環式芳香族炭化水素(PAHs)をガスクロマトグラフ質量分析計により分析し、それらの分子組成の特徴を始原的なMurray CM隕石のものと比較した。 Jbilet Winselwan隕石中のn-アルカン、PAHsの総濃度は、Murray隕石中のものよりそれぞれ40倍、1000倍低かった。Jbilet Winselwan隕石では短鎖n-アルカン(C13-C18)の割合が高く、また低分子のPAHsが検出されなかった。さらにアルキルPAHsの異性体比が両隕石の間で類似の値を示した。以上より、Jbilet Winselwan母天体は比較的穏やかな熱変成を経験したと推測される。