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火星隕石ナクライト中のオリビンには火星での水反応により形成された変質組織Iddingsiteがあり、形成時の水の物理化学情報を保持しているため注目されている。本研究ではナクライトY 000593中のIddingsiteを形成した流体の水質解明を目的として研究を進めた。 Y 000593 のSEM-EDS観察と放射光X線分析から、炭酸塩タイプのIddingsite中でMnCO3とCaCO3が共存していることを確認し、還元的アルカリ性の流体により形成されたことが推測された。また、Iddingsite形成環境と類似したJarosite/Goethiteの層状化学堆積物がある草津での、沈殿鉱物組成と水質のEh-pH条件を比較したところ、実際にはjarositeが沈殿していたにもかかわらず、水質から熱力学的に推定された安定鉱物はgoethiteだった。これは速度論的な理由によると予想される。