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海水中のNi, Cu, Znは生物に必須の微量栄養素であり,これらの安定同位体比は海洋の生物地球化学サイクルを解明するための重要な手がかりとなる。海洋でのNi, Cu, Zn同位体比の分布は近年しだいに明らかにされつつあり,いずれの元素も表層付近での変動が大きいが,その原因についてはよくわかっていない.本研究では,海水中金属の大きな供給源である雨水のNi, Cu, Zn同位体比の分析を行う.最近,私たちは海水中Ni, Cu, Zn安定同位体比測定法を報告した(Takano et al., 2017).この方法における陰イオン交換は1試料を処理するのに12時間を要した.また,CuフラクションにおけるTiは,除去率が80%であり,Cu同位体比測定に干渉した.そこで,従来の方法を改良し,酢酸系での陰イオン交換に基づく雨水中Ni, Cu, Zn同位体比分析法を開発した.