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本研究では日本海産マイワシを研究対象に,高精度マイクロドリルシステム(Geomill326)と微量炭酸塩安定同位体比分析システム(MICAL3c)を活用し,耳石のδ18Oから高解像度での経験水温履歴復元を試みた.試料は2015年に鳥取沖(隠岐周辺)・長崎(地先)・富山湾の3海域で採取された個体を用い,①産地による水温履歴の違いの有無を検証し,②同一魚群中の個体毎の水温履歴に違いがあるかを検討した. 結果,各産地のマイワシ耳石はそれぞれ異なるδ18O変動を示し,産地による水温履歴の違いが明確となった.また,鳥取沖マイワシに関しては,6個体の同位体履歴を比較した結果,生後80日前後からδ18Oが低いグループと高いグループに別れており,このことから,鳥取沖マイワシは生後約80日前後から全く異なる水温履歴を有する個体が混在する群れであったことが判明した.