海水中における硫化鉱物の酸化と二次鉱物生成メカニズムを調べるために,海底熱水マウンドから採取したコア試料2種類と単一鉱物(閃亜鉛鉱、方鉛鉱)を用いて海水溶出実験を行った。コア試料から溶出した金属元素のうちZnの濃度が最も高く,表面積あたりのZn溶出速度は黄鉄鉱を多く含む試料で700 nmol/m2/h,黄鉄鉱が少ない試料で44 nmol/m2/hとなった。一方,閃亜鉛鉱単体ではわずか0.20 nmol/m2/hであった。反応前後の鉱物粒子表面のZnスペシエーションをXPSで測定したところ,黄鉄鉱を多く含むコア試料表面のZnSは徐々にlabileな吸着態Zn2+に変化している様子が観察された。一方,黄鉄鉱が少ないコア試料は反応後もZnSスペシエーションの変化は認められなかった。これらの結果から,硫化鉱物からの金属元素の選択的溶出には異なる鉱物間の電気化学作用が関与していることが裏付けられた。