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太古代岩石から報告されている182W同位体異常の原因となったイベントについては、未だ明らかになっていない。これまでの分析における問題点として最近指摘されているのは、W同位体比が交代作用によって二次的に変わってしまっている可能性である。そこで本研究では、解決策として酸洗浄法をイスア変成玄武岩に適用し、二次的な影響を取り除いた初生的なW同位体比を得ることを目的とした。まず、酸洗浄法の有用性を検証するため、酸洗浄液と溶け残りの微量元素組成を測定した。その結果から、交代作用の影響を受けた鉱物が選択的に溶出することが示された。さらに、W同位体分析を行ったところ、イスア変成玄武岩の酸洗浄液(交代作用の影響を受けた相を反映)から、負の182W同位体異常が検出された。これにより、イスア変成玄武岩が岩石内に同位体不均質性を持つことが初めて明らかになった。