日本地球化学会年会要旨集
2018年度日本地球化学会第65回年会講演要旨集
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G06 マントル物質の化学とダイナミクス
地球岩石の高精度182W/184W同位体組成
賞雅 朝子深海 雄介飯塚 毅*鈴木 勝彦
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p. 68-

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抄録

182Hfは、182Wに890万年という短い半減期でベータ壊変する。Hfは親石元素、Wは親鉄元素であるため、182W同位体は地球初期のコアの分離の際の分別過程を保存している可能性がある。本研究では超高精度のW同位体比分析手法を構築した。その過程で、183Wにおそらく原子核場シフトによる欠損が生じることを確認し、標準溶液も同様の分離をすることで信頼度の高いW同位体組成データを得ることに成功した。その方法を利用して、深部起源の玄武岩や中央海嶺玄武岩を分析したところ、現在のマントルの平均値が得られ、一方、ハワイ・ロイヒ島の3He/4Heの高い玄武岩ではマントル平均値より低い値が出ることが明らかになった。これは先行研究と調和的な結果であり、コア由来の182Wが欠乏したW同位体組成の影響を受けている可能性がある。

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© 2018 日本地球化学会
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