日本地球化学会年会要旨集
2018年度日本地球化学会第65回年会講演要旨集
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G06 マントル物質の化学とダイナミクス
高温高圧実験から探る地球核とマントル最下部の温度構造
*新名 良介廣瀬 敬大石 泰生
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p. 69-

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抄録

核マントル境界(CMB)は、固体ケイ酸塩マントルが液体金属核と接する地球内部における最大の熱・化学的境界である。CMB領域の構造や性質を理解するために、我々は加熱安定性・均質性に優れた内部抵抗加熱式ダイヤモンドアンビルセル(IHDAC)と呼ばれる比較的新しい実験手法を改良した。その場放射光X線回折測定と組み合わせることで、地球核の主成分である純鉄の融点を290 GPa, 5360 Kまで決定した。核に含まれる軽元素による融点降下を考えると、内核外核境界(ICB)の最大温度は約5120 Kであろうと推定される。報告されている溶融鉄の熱物性を仮定すると、CMB温度は約3760 Kと見積もられるが、これは代表的なマントル物質のソリダス温度よりも低い。この結果は、マントル最下部における大規模融解現象が、現在から少なくとも過去15億年間は起こらなかったことを支持している。

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© 2018 日本地球化学会
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