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わずかに還元的な原始大気中での有機物生成の検証のため,N2,CH4,CO2, H2Oの混合気体に,陽子線照射, 火花放電, 紫外線照射を行い,生成物中のアミノ酸・カルボン酸の定量を行った。紫外線照射ではアミノ酸は生成せず,火花放電ではメタン分率10%以下ではアミノ酸が検出されなかったのに対し,陽子線照射ではメタン分率0.5%でもアミノ酸(前駆体)の生成が確認できた。一方,火花放電および陽子線照射によりメタン分率0%でも種々のカルボン酸の生成が認められた。以上の結果より,原始地球上でのアミノ酸生成の主要なエネルギーは宇宙線のような高エネルギー粒子線と推定される。近年,若い太陽型恒星が巨大フレアを起こすことが報告されている。このことは若い太陽からの高エネルギー粒子が銀河宇宙線以上に原始大気中でのアミノ酸生成に寄与していた可能性が考えられる。